マーモットはペットとして飼える?知っておきたい種類・法律・飼育の現実と代替案

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SNSや動画サイトで、大きな体でムシャムシャと野菜を食べる姿や、愛くるしい鳴き声が人気の「マーモット」。その独特の存在感に魅了され、「自分もペットとして飼ってみたい」と考える方が増えています。

しかし、結論からお伝えすると、日本国内でマーモットをペットとして新しく迎え入れるのは、法律や生態の観点から「極めて困難、あるいは不可能」に近いのが現実です。可愛い姿の裏側には、野生動物としての厳しい生存戦略と、日本の厳しい規制が存在します。

この記事では、エキゾチックアニマルの専門知識を持つ筆者が、マーモット飼育の法的制限、生態から見た飼育の難しさ、そしてマーモットに似た「現実的に飼育可能な動物」について詳しく解説します。


[著者情報]
エキゾチックアニマル専門家・中野 瑠璃子

野生動物保護施設での勤務を経て、現在はエキゾチックアニマルの飼育コンサルタントとして活動。10年以上にわたり、リス科の動物をはじめとする特殊なペットの生態を研究している。「動物の幸せと飼い主の現実」を天秤にかけ、誠実な情報発信をモットーとしている。

マーモットをペットにしたい!でも日本で飼育は可能なのか?

結論から申し上げます。現在、日本で「アルプスマーモット」などの主要なマーモット類をペットとして新しく購入し、飼育することは法律によって厳しく制限されています。

その最大の理由は、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」です。マーモット属(Marmota属)の多くは、日本の生態系を壊す恐れがあるとして、輸入や飼育、譲渡が原則禁止されています。

かつては一部の種類が流通していた時期もありましたが、現在は研究目的などの特殊なケースを除き、一般家庭でマーモットを飼い始めることはできません。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: 「マーモットを販売しています」という広告を見かけたら、まずはその種類を正確に確認してください。

なぜなら、多くの場合はマーモットではなく、よく似た「プレーリードッグ」や「ジリス」を誤認して紹介しているケースが多いからです。本物のマーモットは、成体で体重が3kg〜8kgにもなる大型のリス科動物であり、日本の一般的なペットショップで流通することはまずありません。法律違反は厳しい罰則の対象となるため、安易な購入は絶対に避けましょう。


理想と現実のギャップ。マーモット飼育が「極めて困難」と言われる3つの理由

もし法律の壁がなかったとしても、マーモットを家庭で飼育することには、動物園レベルの設備と覚悟が必要になります。

1. 徹底した温度管理と「冬眠」のリスク

マーモットは高山地帯や寒冷地に生息する動物です。日本の高温多湿な夏には耐えられず、24時間体制の厳密な温度管理が欠かせません。また、野生下では半年近く冬眠しますが、家庭飼育での冬眠はそのまま死に直結するリスクが非常に高く、管理が極めて困難です。

2. 強靭な歯と破壊力

リス科最大級の体を持つマーモットの歯は、硬い根っこや岩をも削るほど強力です。家庭内の家具、壁、電気コードなどは一瞬で破壊されます。一般的なケージでは強度が足りず、特注の金属製ケージや専用の部屋を用意する必要があります。

3. 社会性とコミュニケーションの難しさ

マーモットは本来、大家族で生活する非常に社会性の高い動物です。単独飼育は強いストレスを与え、逆に人間とのコミュニケーションがうまくいかないと、鋭い歯で大怪我を負わされる危険性もあります。

マーモットに似た動物たち。ペットとして現実的に飼える「代替候補」

「あの丸っこいフォルムと、ムシャムシャ食べる姿が大好き」という方へ。マーモットそのものは飼えなくても、日本国内で合法的に、かつ現実的に飼育可能な「似ている動物」がいます。

マーモットに似たペット候補の比較

動物名マーモットとの類似点飼育のしやすさ特徴・注意点
オグロプレーリードッグ見た目、鳴き声、仕草中〜上級非常に懐くが、寂しがり屋で噛む力も強い。
リチャードソンジリスフォルム、立ち姿中級プレーリードッグより小型。やや警戒心が強い。
デグーコミュニケーション能力初〜中級小型だが知能が高く、歌うように鳴く。
モルモット名前、丸い体、草食初級穏やかで飼いやすい。※リス科ではなくテンジクネズミ科。

プレーリードッグは、かつてはマーモットと混同されるほど似ていますが、現在は輸入制限があるものの、国内繁殖個体が流通しています。ただし、彼らも非常に高い飼育スキルを要求される「エキゾチックアニマル」であることを忘れてはいけません。


マーモットやエキゾチックアニマルに関するFAQ

Q: 動画で見る「叫ぶマーモット」はペットですか?
A: ほとんどが海外の野生個体、あるいは保護個体です。
海外ではマーモットが身近に生息している地域もありますが、それらはペットとして飼われているのではなく、野生の姿を撮影したものです。

Q: モルモットとマーモットは何が違うのですか?
A: 全く別の動物です。
名前は似ていますが、マーモットは「リス科(リスやシマリスの仲間)」、モルモットは「テンジクネズミ科(カピバラなどの仲間)」です。モルモットは家庭での飼育に非常に適した穏やかな性格をしています。

Q: どうしてもマーモットに会いたい場合はどうすればいいですか?
A: 日本国内のいくつかの動物園で飼育されています。
例えば、長野県の「茶臼山動物園」など、高冷地の環境を再現できる施設でアルプスマーモットに会うことができます。ペットとしてではなく、適切な環境で暮らす彼らを観察しに行くのが、最も健全な楽しみ方です。


まとめ:動物の幸せを第一に考えた選択を

マーモットは、その愛くるしい外見とは裏腹に、厳しい自然環境の中で生きる「野生のプロフェッショナル」です。

  1. 日本の法律(外来生物法)により、多くのマーモットは飼育が禁止されている。
  2. 生態的にも、日本の気候や一般家庭の環境で飼育するのは極めて困難。
  3. 「似ている動物(プレーリードッグやモルモット)」を検討し、自分のライフスタイルに合うか慎重に判断する。

動物を愛するからこそ、「飼わない」という選択が最大の愛情になることもあります。もしあなたが、あの丸いフォルムと草食動物特有の仕草に癒やされたいのであれば、まずはモルモットやジリスといった、国内でしっかりと飼育ノウハウが確立されている動物たちとの生活を検討してみてください。


[参考文献リスト]

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