「企画書を書いているけど、『しかし』ばかり続いて文章が単調……」
「上司へのメールで『しかし』を使うと、なんだか反抗的に見えないか不安」
接続詞の「しかし」は非常に便利ですが、多用すると「文章が稚拙に見える」「相手にキツイ印象を与える」というデメリットがあります。
実は、デキる社会人は、場面や相手との関係性によって「逆接(前の内容を否定してつなぐ言葉)」を巧みに使い分けています。
この記事では、ビジネスメールから論文・レポート、日常会話まで、状況に合わせた「しかし」の言い換え表現を網羅的に解説します。これを読めば、あなたの語彙力は一気に「大人のレベル」へと引き上げられるはずです。
【著者情報】
山口 悟(ビジネスライティング・コンサルタント)
大手企業での広報・秘書業務を経て独立。年間200件以上のビジネス文書添削を行い、「知的に見えて、角が立たない」文章術を指導している。
1. なぜ「しかし」を言い換える必要があるのか?
「しかし」は、前の文章を否定する最も一般的な言葉です。
間違いではありませんが、ビジネスシーンで使い続けると以下のリスクがあります。
- 攻撃的に聞こえる: 「しかし」は否定のニュアンスが強いため、相手の意見を真っ向から切り捨てるように響くことがあります。
- 幼稚に見える: 同じ接続詞の連発は、語彙力のなさを露呈し、文章のリズムを悪くします。
TPOに合わせて「クッション性のある言葉」や「論理的な言葉」に変換することで、コミュニケーションは劇的に円滑になります。
2. 【ビジネス・メール編】角を立てずに否定する「大人の言い換え」
相手に配慮が必要なメールや商談では、否定のニュアンスを和らげる表現を使います。
① 「恐れ入りますが / あいにくですが」
相手の要望を断る際、「しかし、できません」と言うと冷たい印象になります。クッション言葉に置き換えましょう。
- 使用例: 「ご期待に添いたいところですが、あいにく在庫が切れておりまして……」
② 「ただ / とはいえ」
前の内容を認めつつ、補足や条件を付け加える時に使います。「しかし」よりも柔らかい響きです。
- 使用例: 「プランAは魅力的です。ただ、予算面での懸念が残ります。」
- 使用例: 「納期は守ります。とはいえ、品質を落とすわけにはいきません。」
③ 「もっとも」
前の文章に対して、例外や補足説明を加える時に使います。知的な印象を与えます。
- 使用例: 「このデータは正確です。もっとも、調査時点での数値ですが。」
印象激変!ビジネスで使える「しかし」変換リスト
| 場面 | いつもの「しかし」 | プロの言い換え | 与える印象 |
|---|---|---|---|
| 反論・指摘 | しかし、その点は…… | 懸念点としましては…… | 冷静・客観的 |
| 断り | しかし、無理です。 | 大変恐縮ですが、致しかねます。 | 丁寧・配慮 |
| 部分否定 | しかし、ここは違います。 | ただ、この点に関しては…… | 柔軟・建設的 |
| 条件追加 | しかし、条件があります。 | もっとも、条件次第では…… | 知的・補足的 |
3. 【レポート・論文編】論理構成を強める「硬い言い換え」
客観性が求められる文章では、感情を排した論理的な接続詞を選びます。
① 「ところが」
予想外の結果や、対比を強調したい時に使います。
- 使用例: 「A薬を投与した。ところが、症状に変化は見られなかった。」
② 「然(しか)るに」
非常に硬い表現です。現状と理想のギャップを指摘する際などに使われます。
- 使用例: 「法改正が望まれている。然るに、議論は一向に進んでいない。」
③ 「反面 / 他方」
物事の二面性を対比させる時に便利です。
- 使用例: 「都市部は発展した。その反面、地方の過疎化は深刻だ。」
4. 【日常会話編】自然な「口語の言い換え」
親しい間柄やカジュアルな会話で「しかし」を使うと、堅苦しくなりすぎます。
- 「でも」: 最も一般的。「しかし」より柔らかい。
- 「だけど」: 親しい相手に。「でも」より少し砕けた印象。
- 「って言うか」: 前の話を転換したい時に(※目上の人にはNG)。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 「Yes, But法」を意識すると、接続詞選びに迷いません。
いきなり「しかし(No)」で話し始めるのではなく、まずは「おっしゃる通りです(Yes)」と受け止め、その後に「ただ(But)」や「一方で」と繋げてみてください。
「しかし」という言葉そのものを減らすことが、実は最も洗練されたコミュニケーション術なのです。
まとめ:場面別「しかし」言い換えマップ
最後に、迷った時にすぐ使える分類マップを頭に入れておきましょう。
- 相手を尊重したい時(メール・接客)
- → 「恐れ入りますが」「あいにく」「ただ」
- 論理的に説明したい時(レポート・会議)
- → 「もっとも」「反面」「とはいうものの」
- 予想外の展開を強調したい時
- → 「ところが」「それにもかかわらず」
「しかし」の一言を変えるだけで、あなたの知性や配慮は相手に伝わります。ぜひ今日から、意識して使い分けてみてください。
[参考文献リスト]


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